15 知っておきたいシニアのマネー 定年後の住まいと不動産 ツイート シェア

15-01 定年後を考えた住宅ローン返済法

(1) 金利が高い場合は、借り換え・金利交渉

まず、今借りている住宅ローンの返済表を見てみましょう。①借りている金利、②現時点の残高、③返済期間を確認します。理想のローンは、固定金利1%程度で、60歳までに返済が終了するもの。それが無理なら、60歳時点でのローン残高をできるだけ減らしておくことをめざしましょう。

借りている金利が1.5%以上なら、借り換えや金利交渉によって金利が下がる可能性があります。借り換えは、今借りている銀行からほかの銀行へローンの借り先を変えること。借り換える際には手数料(登記費用や保証料、事務手数料など)がかかりますので、手数料以上に利息が減る場合は検討しましょう。

金利交渉は、今借りている銀行に交渉して金利を下げてもらうことです。これは、うまくいく保証はありませんが、手数料や借り換えの書類が不要で金利を下げられる方法なので、ダメモトでも交渉してみる価値があります(条件変更の手数料はかかる場合があります)。

借り換えの際にどの金利タイプを選ぶかですが、返済期間が10年以内など短い場合は変動金利でもいいのですが、ある程度返済期間が残っている場合には固定金利にして、金利が上昇するリスクを減らしておきましょう。

(2) 貯蓄やボーナスなどで繰り上げ返済

金利を下げたうえで検討したいのが、繰り上げ返済です。借りている銀行で繰り上げ返済する際の条件を調べましょう。いくらから繰り上げ返済できるのか、手数料はいくらかかるか、月に何回できるかという点です。「1円からできて、月に何回でも繰り上げ返済手数料なし」という場合は、手元にある余裕資金をちょこちょこ返済していくという方法もとれます。「10万円以上、手数料1回1万円(+税)」という場合は、ある程度まとまったお金を繰り上げ返済したほうがおトクです。

繰り上げ返済する場合は、毎月の返済額が少し減る「返済額軽減型」ではなく、返済期間が短くなる「期間短縮型」を選びましょう。繰り上げ返済をする目的は、返済期間を60歳に近づけることなので、期間短縮型を選ぶ必要があります。同じ金額を繰り上げ返済した場合、期間短縮型のほうが利息軽減効果が高いという利点もあります。

繰り上げ返済をする原資は、余裕資金に限られます。ボーナスの一部や当面使わずにすむ貯蓄などを充てましょう。教育費などで必要になるお金を繰り上げ返済に使ってしまい、足りなくなって教育ローンなどを借りるのは本末転倒です。

(3) 返済額を上げる条件変更

繰り上げ返済をする資金的な余裕がない場合は、毎月の返済額を5000円、1万円程度あげる条件変更を行いましょう。今の返済額が10万円の場合は、10万5000円、11万円など無理のない範囲でアップさせます。住宅ローンを借りている銀行に条件変更をしたい旨を伝えて、手続きをしましょう。毎月の返済額を少し上げることで、この先の返済期間を短縮することができます。

もし、繰り上げ返済と条件変更の両方ができれば、合わせ技で一層返済期間を短くすることができます。

(4) 退職金の一部で完済

ここまでの(1)~(3)で、ある程度住宅ローンのボリュームを小さくして返済期間も短縮したら、60歳時点でのローン残高はかなり減っていると思います。退職金の一部で返済できる程度になっていれば、ここで完済することができます。

(5) リバースモーゲージの活用

60歳時点で住宅ローンの残高がかなり残っていたら、返済することをあきらめてリバースモーゲージに借り換えるという手もあります。リバースモーゲージは、自宅を担保に入れてお金を借り、融資を受けた人が亡くなったあとに借りた分を相続財産から支払うか、自宅を売却して返済するという仕組み。融資期間中は利息の支払いのみなので、住宅ローンを借りているときより返済額はグッと減らせます。ただし、元本は一切減らないので、生存中はずっとその分にかかる利息を払い続ける必要があります。
(5)	リバースモーゲージの活用【相続広場】