15 知っておきたいシニアのマネー 定年後の住まいと不動産 ツイート シェア

15-02 老後に備えるリフォーム

(1) 高齢期に対応するためのリフォーム

自宅のリフォームは、経年劣化した部分を元に戻すための壁紙や床の張り替えなどから、スケルトンにして間取りからやり直す大がかりな全面リフォームまで、さまざまなやり方があります。住人の年齢がだんだん上がってくると、家の中をバリアフリーにするなどの配慮も必要になってきます。

年をとると、ちょっとした段差でつまずいたり、階段ですべったりして、家の中でケガをしてしまうことが増えます。和室と洋間の床の段差をなくす、階段の床材をすべりにくいものにして縁の部分の色を変える、ドアを引戸に替えるなどのリフォームを検討しましょう。

廊下や階段、トイレやお風呂などに手すりをつけることも必要になってきます。家族が要支援・介護状態になると、介護保険から住宅改修費が支給されます(支給限度基準額20万円の9割で、18万円が上限)。

介護が必要になったときには、お風呂とトイレのリフォームがポイントになります。お風呂については、浴槽はまたぎやすい高さのものにする、すべりにくい床材や浴槽にする、ヒートショック防止のために浴室暖房乾燥機をつけるなどのリフォームが考えられます。トイレの改修をする場合は、介助しやすいようにできるだけ広めにとる、寝室のそばに移動させるなどを検討しましょう。廊下も広くとれると、車いすでも通りやすくなります。

寝室が2階にあった場合は1階に移す、和室に布団を敷くのではなく、介護対応のベッドを入れるなども考えられます。キッチンの設備機器を入れ替えるときは、コンロをIHや自動消化機能付きに換えるのがおすすめです。

(2) リフォーム業者選びには要注意

リフォームは、依頼する業者によって価格も工事の質もかなり差があるので、慎重に選びましょう。飛び込み営業でやってくる業者ではなく、信頼できる地元の工務店やホームページで調べた依頼先数社に見積もりを出してもらって選びましょう。

業者を選ぶときは、価格だけでなく、希望するリフォームができそうか、ある程度の工事実績があるか、事業者団体に加盟しているか、自宅からあまり遠くないか、などを考慮して決めます。

見積書の内容に問題がないか確かめたいときや、トラブルになりそうなときは、「住まいるダイヤル(☎0570-016-100)」などの消費者支援制度を活用できます。

(3) リフォーム減税や補助金制度

リフォームをする際は、優遇税制や補助金の制度が充実しています。リフォーム減税は、一定の要件を満たすリフォームをすると、税金の優遇を受けられます。対象となるのは、耐震リフォーム、バリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、同居対応リフォーム、長期優良住宅化リフォームの5つ。申請先や申請期限が決まっているので、工事を請け負うリフォーム業者と相談しつつ進めましょう。リフォーム後に確定申告の手続きをして、所得税などの控除を受けます。

国や自治体で実施しているリフォーム補助金・助成金もあります。申請して手続きをすれば、工事費の一部を負担してもらえます。自治体によって、補助金の対象となる工事内容や補助金がでる期間、金額などがまちまちなので、住んでいる場所で使えるものを調べて活用しましょう。

(4) 高齢者向けのリフォーム融資

年金生活に入ると、新たな借り入れをすることが難しくなるので、住宅金融支援機構の「リフォーム融資【高齢者向け返済特例】」や、リバースモーゲージでリフォーム資金を調達しましょう。いずれも返済は利息のみですみます。申し込み者が亡くなったときに、相続人が相続財産で一括返済するか、自宅を売却して返済します。住宅金融支援機構の「リフォーム融資【高齢者向け返済特例】」は、60歳以上の人が、自宅にバリアフリー工事や耐震改修工事を含むリフォームを行う場合に利用できるものです。

リバースモーゲージには、東京スター銀行の「充実人生」などのほか、住宅金融支援機構と取扱い金融機関が提携して融資する「リ・バース60」も登場しています。「リ・バース60」は、60歳以上向けで資金使途を住宅取得資金などに限定したリバースモーゲージです。
(4)	高齢者向けのリフォーム融資【相続広場】