11 相続税Q&A 基礎編 その2 ツイート シェア

11-05 相続税の具体的な計算は?

(1)相続税の計算方法?

①遺産総額の計算
次の通りに被相続人が遺した遺産を計算します。
Ⅰ取得財産の合計額
Ⅱ非課税財産の合計額
Ⅲ相続時精算課税適用財産の価額
Ⅳ債務・葬式費用の額
Ⅴ相続開始前3年以内の贈与財産の価額
Ⅵ遺産総額(Ⅰ-Ⅱ+Ⅲ-Ⅳ+Ⅴ)

②基礎控除額の計算
 基礎控除額=30,000,000円+6,000,000万円×法定相続人数

③課税遺産総額の計算(①-②)
 遺産総額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算します。

④相続税総額の計算
 課税遺産総額を各相続人が民法上の法定相続分を取得したものと仮定して各人の取得金額を計算し、これに税率表を適用して各相続人の相続税額を計算し、これを合計して相続税総額を計算します。
 ここで注意しなければいけないのは、課税遺産総額に税率表を適用するのではなく、課税遺産総額を法定相続分で按分したそれぞれの金額に税率表を適用するということです。

⑤各相続人の納付税額の計算
相続税総額を各相続人が実際に取得した遺産の割合で按分して各相続人が負担すべき相続税額を計算します。
そして、この金額から各相続人の個別事情に応じて、孫等の2割加算、贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除・障害者控除等を加算・減算した金額が実際に各相続人が納付すべき相続税額となります。

(2)具体例?

 それでは、具体的な計算を見てみましょう。
①前提条件
・相続人 配偶者、長男、長女の3人(いずれも未成年者、障害者には該当しない)
・遺産総額 200,000,000円
・各相続人が実際に取得した遺産額
配偶者 120,000,000円(取得割合60%)
長 男  50,000,000円(取得割合25%)
長 女 30,000,000円(取得割合15%)

②課税遺産総額の計算
Ⅰ遺産総額 200,000,000円
Ⅱ基礎控除額 48,000,000円(30,000,000円+6,000,000円×3人)
Ⅲ課税遺産総額(Ⅰ-Ⅱ) 152,000,000円

③相続税総額の計算 
Ⅰ法定相続分による按分
配偶者 76,000,000円(152,000,000円×1/2)
長 男 38,000,000円(152,000,000円×1/4)
長 女 38,000,000円(152,000,000円×1/4)

Ⅱ相続税総額の計算
配偶者 15,800,000円(76,000,000円×30%-7,000,000円)
長 男  5,600,000円(38,000,000円×20%-2,000,000円)
長 女  5,600,000円(38,000,000円×20%-2,000,000円)
合 計 27,000,000円

 ※相続税の税率
各法定相続人の取得金額税率控除額
1,000万円以下10%-
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円


④各相続人の納付税額
Ⅰ各相続人の相続税額
配偶者 16,200,000円(27,000,000円×60%)
長 男  6,750 000円(27,000,000円×25%)
長 女 4,050,000円(27,000,000円×15%)
合 計 27,000,000円

Ⅱ税額控除等
配偶者 16,200,000円
   (民法上の法定相続分を超えた額を取得しているが、1億6千万円以下のため、全額控除)
    長男と長女は税額控除等の適用なし

Ⅲ納付税額(Ⅰ-Ⅱ)
配偶者 0円(16,200,000円-16,200,000円)
長 男  6,750,000円
長 女  4,050,000円
合 計 10,800,000円