05 生命保険
05-02 生命保険と遺産分割
(1)「代償分割」に利用する
亡くなった人の遺産の多くが不動産というケースはよくあります。相続人が複数いた場合、遺産の不動産を分割する方法はいくつか考えられます。
・売却・現金化して分ける(換価分割)
・相続人で共有する(共有分割)
・相続人の一人が不動産を相続し、他の相続人は相続割合に応じた別の資産を受け取る
不動産は、売却して現金化すると分けやすくなるとはいえ、自宅の土地建物などは、売却したくないというケースも多いでしょう。
だからといって、1つの不動産の所有権を複数人で共有すると、その不動産を自由に使えず処分もしづらいうえ、共有者が亡くなってその相続人に所有権が移ると関係が複雑になってしまいます。
そこで、一人が不動産を相続し、他の相続人はその代わりに預貯金など別の資産を受け取ることが考えられます。これを「代償分割」といいます。
・売却・現金化して分ける(換価分割)
・相続人で共有する(共有分割)
・相続人の一人が不動産を相続し、他の相続人は相続割合に応じた別の資産を受け取る
不動産は、売却して現金化すると分けやすくなるとはいえ、自宅の土地建物などは、売却したくないというケースも多いでしょう。
だからといって、1つの不動産の所有権を複数人で共有すると、その不動産を自由に使えず処分もしづらいうえ、共有者が亡くなってその相続人に所有権が移ると関係が複雑になってしまいます。
そこで、一人が不動産を相続し、他の相続人はその代わりに預貯金など別の資産を受け取ることが考えられます。これを「代償分割」といいます。
(2)不動産の代償分割の例
具体例で見てみましょう。
・父親の遺産
自宅:5000万円 預貯金:3000万円 合計:8000万円
・相続人は子Aと子B
遺産を法定相続割合で分割すると、A、Bともに4000万円を相続することになりますが、自宅をAが相続し、預貯金をBが相続すると、Aが5000万円、Bが3000万円となり、Bの相続分はAより少なくなってしまいます。
そこで、子Aが自己資金で父親を被保険者、契約者と受取人を自己とする終身保険に加入します。
父親が亡くなったとき、Aは受け取った死亡保険金のうち1000万円を代償交付金としてBに支払います。
相続税の課税価格を計算する際、代償交付金として支払った額は相続税の課税対象から差し引き、代償交付金として受け取った額は相続税の課税対象に加えるので、A、Bそれぞれが4000万円ずつ相続したことになります。
・父親の遺産
自宅:5000万円 預貯金:3000万円 合計:8000万円
・相続人は子Aと子B
遺産を法定相続割合で分割すると、A、Bともに4000万円を相続することになりますが、自宅をAが相続し、預貯金をBが相続すると、Aが5000万円、Bが3000万円となり、Bの相続分はAより少なくなってしまいます。
そこで、子Aが自己資金で父親を被保険者、契約者と受取人を自己とする終身保険に加入します。
父親が亡くなったとき、Aは受け取った死亡保険金のうち1000万円を代償交付金としてBに支払います。
相続税の課税価格を計算する際、代償交付金として支払った額は相続税の課税対象から差し引き、代償交付金として受け取った額は相続税の課税対象に加えるので、A、Bそれぞれが4000万円ずつ相続したことになります。
(3)自社株の相続にも使える
生命保険を使った代償分割は自宅の不動産のほかに、自社株の場合にも利用できます。
自社株は、相続によって複数の相続人に分散するとその後の事業経営に支障を来たす可能性があります。そのため、事業を承継する相続人だけに相続させるのが望ましいといえます。
そこで、自社株は事業承継する相続人Aに相続させることとし、現経営者が契約者・被保険者、Aを受取人とする終身保険に加入。Aは自社株を相続する代わりに、受け取った保険金を他の相続人に代償交付するという形です。
個人事業主が、事業を承継する相続人に事業用資産を相続させる場合も、同じように保険を使った代償分割が利用できます。
自社株は、相続によって複数の相続人に分散するとその後の事業経営に支障を来たす可能性があります。そのため、事業を承継する相続人だけに相続させるのが望ましいといえます。
そこで、自社株は事業承継する相続人Aに相続させることとし、現経営者が契約者・被保険者、Aを受取人とする終身保険に加入。Aは自社株を相続する代わりに、受け取った保険金を他の相続人に代償交付するという形です。
個人事業主が、事業を承継する相続人に事業用資産を相続させる場合も、同じように保険を使った代償分割が利用できます。
(4)代償分割は分割協議書に
代償分割を行う場合に注意したいのは、遺産分割協議書に誰から誰への代償分割であるかを明記しておく必要がある点です。そうでないと、代償交付した人から代償交付を受けた人への贈与とみなされて、贈与税が課されてしまうからです。
また、代償交付するのが相続によって得た保険金等ではなく、相続人がもとから保有していた不動産などの場合は、不動産を譲渡したことになり、所得税や住民税が課せられる点にも注意が必要です。
また、代償交付するのが相続によって得た保険金等ではなく、相続人がもとから保有していた不動産などの場合は、不動産を譲渡したことになり、所得税や住民税が課せられる点にも注意が必要です。