06 不動産の相続対策 ツイート シェア

06-04 マンション投資で評価減

(1)マンション投資のメリット

土地を取得して賃貸物件を建てるとすると、投資額は多額になります。マンションの1棟買いだと、数億円といったところでしょう。

それに対して、マンションを1戸単位で区分所有するなら、2000万円前後から投資が可能です。

相続人が二人いる場合には、マンションを2戸購入して賃貸にしておくと、1戸ずつ相続させることができます。

マンションは、土地と建物は別々に相続税評価額を求めます。家屋は区分所有している部分の固定資産税評価額となり、土地はマンション全体の敷地面積に持ち分比率(総床面積に対する区分所有部分の床面積の割合)を掛けて計算します。

そのために、敷地面積に対して住戸数の多いマンションほど、土地の部分の評価額が小さくなります。

マンションを賃貸にすると、土地の評価額は「借地権割合×借家権割合」の分だけ下がるので、マンションを購入した金額よりも、大幅に相続税評価額を小さくできるわけです。
(1)マンション投資のメリット【相続広場】

(2)タワマンの節税効果

マンションの購入額と相続税評価額の差が大きいために、大幅な節税効果があることで人気を集めているのがタワーマンションです。

タワーマンションは階数が多いために住戸数も多くなります。同じ敷地面積なら、低層のマンションよりタワーマンションのほうが一戸あたりの土地の持ち分が小さくなります。

タワーマンションは一般的に、高層階になるほど販売価格が高くなっています。それに対して、床面積が同じなら、低層階も高層階も家屋の固定資産税評価額は変わりません。

そのため、高層階ほど販売価格と相続税評価額の差が大きくなり、それだけ相続税の節税効果が高まるといえるわけです。

こうしたタワーマンションを使った節税は富裕層しか使えないことから、固定資産税の見直しが行われました。

2017年4月移行に新築された高さ60m(20階)超のマンションで、2018年度以降に課税対象となる物件については、階層が1階上がるごとに床面積が0.26%広くなるよう設定された床面積補正率を適用することになりました。高層階になるほど、床面積が広くなり固定資産税額が高くなるわけです。

この見直しによっても、家屋の相続税評価額が変わるわけではないので、相続税の節税効果が薄れたわけではありません。ただし、今後も行きすぎたタワーマンション節税を封じるための税制改正が行われる可能性はあります。

また現在でも、タワーマンション購入後まもなく相続が起こり、そのマンションを相続した相続人がすぐに売却すると、相続税を逃れて不当な利益を得たと判断され、購入価格を評価額とみなされる場合があります。

子が相続直前に、親の名義・親の資金でタワーマンションを購入させた場合などは、同様に購入価額を評価額とされる場合があるので注意が必要です。

タワーマンション節税については、今後の税制改正の動向を踏まえ、素人判断で行わないのが無難です。相続税の節税対策は、相続専門の税理士に相談するようにしてください。