07 知っておきたいシニアのマネー 介護とすまい ツイート シェア

07-05 介護施設の種類は?

(1)メリット・デメリットは?

 介護が必要になったとき、住み慣れた自宅で介護を受けたいと考える人は多く、そういう人たちのために、公的介護保険はさまざまな在宅介護サービスを提供しています。とはいえ、介護する家族がいなかったり、要介護度が高くなって家族の負担が重くなってきたりすると、在宅での介護が難しくなり、施設での介護を考えることになります。
 施設介護は、介護の専門家によって24時間365日介護が受けられるので、家族の負担が軽いのがメリットです。一方で、施設によっては入所希望者が多くてすぐに入所できないことがあります。また、一般的に在宅介護より費用がかかります。
 そのため、在宅で介護が受けられるうちは在宅で、要介護度が上がるなどして在宅介護が難しくなったら施設へ入所するというケースが多くなっています。

(2)特別養護老人ホームと老人保健施設は?

 公的介護保険の施設サービスは、おもに次の2つです。

・特別養護老人ホーム(特養)
 常に介護が必要で、自宅で介護を受けるのが難しい65歳以上の人のための施設で、入所すると、介護スタッフによって食事、入浴など生活のサポート、リハビリや健康管理などが受けられます。介護施設の中では費用が安いため入所希望者が多く、1つの施設に対して入所を待つ人が100人を超えるケースも珍しくない状態でした。そこで現在は、新しく入所する場合は原則として「要介護3以上」が条件となっています。

 従来からある特養は4人部屋が一般的ですが、新しく作られた施設はすべて個室、あるいは共用スペースを個室が囲む形のユニット型となっています。

・老人保健施設(老健)
 病院に入院していた65歳以上の人が退院後、自宅へ戻る前にリハビリなどを受けて心身の機能を回復させるための施設で、入所期間は原則として3カ月または6カ月です。4人部屋が中心で、個室がある施設もあります。

(3)グループホームとは

 グループホームは地域密着型サービスの1つで、認知症の人を対象にした施設です。5~9人を1ユニット(単位)とし、入居者が介護スタッフとともに生活します。すべて個室で、1ユニットごとに食堂やリビングルームがあります。

 認知症専門のスタッフによる介護を受けながら、入所者もできる範囲で家事や買い物をしたり、趣味を楽しんだりします。それによって、問題行動がなくなったり認知症の進行を遅らせたりできるといわれています。

(4)介護付老人ホームは

 特養や老健が公的な施設であるのに対して、有料老人ホームの多くは民間の企業が運営しています。有料老人ホームのうち、職員体制や居室の広さなどの条件を満たして都道府県から介護保険の「特定施設入所者生活介護」の指定を受けたものが、「介護付き有料老人ホーム」です。

 60歳以上の要支援・要介護の人が対象ですが、施設によっては自立の人も入所できるところがあります。施設内に介護スタッフが常駐しており、入所者は介護やリハビリ、食事や入浴などのサポートなどが受けられます。居室はすべて個室でトイレ付き。夫婦で入所できる広い居室やミニキッチン付きの居室がある施設もあります。

(5)介護施設の費用は?

 介護施設は種類によってかかる費用に違いがあります。

 特養と老健は、入居時には費用がかかりません。入居中は、居住費と食費、介護保険の自己負担額を毎月支払います。1カ月あたりの費用は、4人部屋で自己負担割合が1割の場合、特養が8~10万円程度、老健は10~12万円程度で、個室やユニット型の場合は1、2万円高くなります。

 グループホームも、多くの施設は入居時に費用がかかりませんが、中には数十万円の一時金がかかるところがあります。毎月の費用は、家賃、食費、管理費・共益費で、金額は施設によって異なります。それに介護保険の自己負担額を加えると1割負担の場合で1カ月当たり12~18万円程度です。

 有料老人ホームにかかる費用には、入居一時金と毎月の利用料があります。入居一時金はかからないところもあれば、1000万円を超えるところもあるなど、施設による差が大きくなっています。毎月の費用も10~50万円と幅があります。費用の差は、施設の立地や、居室の広さ、共用部分の広さ・設備の充実度、介護の手厚さなどによるものです。
 有料老人ホームは、どのくらい費用を負担できるかで選ぶのが現実的といえます。
(5)介護施設の費用は?【相続広場】