07 知っておきたいシニアのマネー 介護とすまい ツイート シェア

07-06 高齢者向け住まいは?

(1)日常生活に不安を感じたら住み替えも?

高齢になって一人暮らしあるいは夫婦だけの暮らしだと、介護は必要なくても、防犯や防災面で不安を感じたり、急に具合が悪くなったときなどが心配になったりします。家事や買い物などが大変になることもあるでしょう。

そのようなときに考えられるのが、高齢者向け住まいへの住み替えです。住み替え先の候補としては、シニア向けマンション、住宅型有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などがあります。

いずれも、身の回りのことが自分でできる自立した高齢者向けの住まいで、建物内はバリアフリー、居室は一人部屋または夫婦向けの二人部屋、そのほかに共用スペースがあります。また、見守りや緊急対応サービスがあり、食事の提供が受けられます。

(2)シニア向マンション

シニア向けマンションは文字通り高齢者のためのマンションですが、入居に当たって年齢の制限はありません。一般のマンションと同じように、数千万円~1億円程度で購入し区分所有権を得て、管理費と修繕積立金を毎月数万円支払います。区分所有権は売却や相続が可能です。

食事サービス付きがほとんどで、プールやジムなどの付帯設備があったり、コンシェルジュがいてさまざまなサービスが受けられたりするところもあり、どちらかといえば富裕層向けといえます。

マンションの立地や居室の広さ、付帯設備やサービスの充実度などによって分譲価格や管理費が異なりますが、一般のマンションより高めです。

(3)住宅型老人ホーム?

住宅型有料老人ホームも、自立した高齢者向けの住まいですが、入居できるのは60歳以上の人で、入居時に一時金を支払って終身利用権を得る形になります。終身利用権の売却・相続はできません。そのほかに、管理費や食事代を毎月支払います。

入居一時金や毎月の費用は、立地や居室の広さ、共用部分の充実度などによって差があり、入居一時金は1000万円~、毎月の費用は30~50万円程度です。

(4)ケアハウスは?

ケアハウスは、60歳以上の自立した人を対象とした高齢者向けの住まいです。社会福祉法人など公的機関が運営しており、建設費用の一部を都道府県や市町村が負担しているため、入居時にかかる費用は数百万円程度、毎月の費用は10~20万円程度で、所得によって軽減される仕組みもあります。

シニアマンションや住宅型有料老人ホームに比べると、ケアハウスは費用負担が軽いのがメリットですが、施設数が少ないため、希望しても入居できるとは限らないのが難点です。

(5)サービス付き高齢者向け住宅は?

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者向けの賃貸住宅です。民間企業が経営し、国が建設に対して補助を行っていることから、急速に数が増えています。

60歳以上の自立した人のほか、軽度の要介護の人も入居できます。居室の広さが一定以上で、バリアフリーであることと、安否確認サービスと生活相談サービスの提供が義務づけられています。食事の提供は義務ではありませんが、多くのサ高住は食事付きです。

サ高住は賃貸住宅なので、入居時に家賃2~3カ月分の敷金が必要ですが、これは退去時に戻ってきます。家賃は周辺の賃貸住宅と同水準で、それにサービス費と食費を合わせて10~20万円程度といったところです。

(6)施設内で在宅介護?

このような高齢者向けの住まいに住んでいて介護が必要になった場合は、施設内で外部の事業者による在宅介護サービスを受けることになります。ただし、「自立」が入居の条件になっている施設の場合、要介護度が高くなったら介護付きの施設へ移らなければならないこともあります。

住宅型老人ホームやケアハウスの中には、介護付きの施設を併設していて、介護が必要になったらそちらへ移れるところもありますが、いずれにしても、住み替えが2回になるかもしれないことは考えておく必要があるでしょう。

将来の介護を見据えて、自立の人でも入居できる介護付き有料老人ホームを選ぶことも考えられます。
(6)施設内で在宅介護?【相続広場】