08 知っておきたいシニアのマネー 医療と介護に備える ツイート シェア

08-04 介護に備える保険とは

(1)介護を受けるのに必要な支出?

高齢になると心配なことの一つが介護です。要介護の人の比率は、70代後半で10%程度ですが、80~84歳では5人に1人、90歳以上だと2人に1人と、年齢が高くなるとともに比率も高まります。

65歳以上で要介護の人は、公的介護保険のサービスを利用でき、利用したサービス料金の1割を負担しますが、一定の所得以上の人は2015年8月から2割負担に、より所得の高い人は2018年8月から3割負担となり、自己負担額は増える傾向にあります。

公的介護保険のサービスは、要介護度に応じて1カ月に利用できる限度額が決まっていて、限度額以上にサービスを利用した場合の費用は全額自己負担となります。また、公的介護保険の対象ではないサービス、例えば配食や介護タクシーを利用したときの費用、ショートステイの際の食費などはすべて利用者が負担しなければなりません。

このような、公的介護保険の自己負担や公的介護保険の対象とならない出費に備えるため、いくつかの生命保険会社では介護保険商品を扱っています。

(2)介護一時金と介護年金が受け取れる?

保険会社の介護保険は、一定の要介護状態になったときに介護一時金、それ以降は介護年金が支払われるのが基本的な仕組みで、その他の保障内容は商品によって違いがあります。

・年金の支払い期間
年金が終身(亡くなるまで)支払われるタイプと、一定期間(10年など)のみ支払われるタイプがあります。

・一時金・年金の支払い条件
介護一時金や年金が支払われる条件は保険商品によっていろいろで、「公的介護保険の要介護2以上」、「年金は要介護1以上、一時金は要介護3以上」、「認知症と診断されてから3カ月以上、または寝たきり状態が6カ月以上続いたとき」などがあります。

・死亡給付金
介護だけに保障が絞られたタイプのほかに、介護保険と終身保険がセットになっていて、要介護にならずに亡くなったらたら死亡給付金が支払わるタイプがあります。

・保険料の払い込み期間
終身あるいは65歳までなど。終身でも、一定の要介護状態になったら保険料の払込が免除される商品もあります。

(3)保障内容で比較?

将来の介護にかかる費用が心配であれば、保険会社の介護保険に加入するのも選択肢の1つです。特に、家族による介護が期待できない、あるいは家族に介護の負担をかけたくない、という人は外部の介護サービスを利用が多くなるため、保険会社の介護保険のニーズが高いといえます。

保険会社の介護保険を選ぶときは保障内容を比較しましょう。

介護年金は終身支払われるタイプのほうが安心です。また、介護一時金・介護年金は支払い条件が緩いほうが、受け取れる確率が高くなります。保険料払い込み期間が65歳払いまでのものは終身のものより保険料が高くなります。そこで、終身払いで一定の要介護状態になったら払い込み免除になるものがよいかもしれません。

死亡給付金があるものは保険料が高くなるので、死亡給付金が不要だったり、他の保険で死亡保障が確保できていたりすれば、介護保険だけのシンプルなもののほうがよいでしょう。

(4)ポイントは保険料?

保険会社の介護保険に加入しておけば将来介護が必要になったとき安心ですが、問題は保険料です。

例えば、要介護2で一時金60万円と終身年金120万円が支払われ、以後の保険料は免除となる商品に40歳男性が加入したときの毎月の保険料は約4700円、55歳だと約8600円となります。
同じ保障内容で300万円の死亡保障がセットになったタイプだと、40歳で月1万4000円、55歳で約3万5000円となります。

介護のみのタイプは40歳代なら月1万円以下での加入が可能ですが、介護が心配になってくる55歳以上の人だと保険料がかなり高くなります。そのうえ終身払いだと、年金生活に入っても高額な保険料を払い続けることになります。

将来の介護に備える手段としては、保険のほかに貯蓄もあります。介護保険は要介護になったときだけしか利用できないのに対して、貯蓄なら使いみちが自由で、要介護にならなければ他の目的に使うことができます。

したがって、介護に備えるために保険会社の介護保険を利用するのであれば、一時金・年金額は最小限にして保険料を抑え、残りは貯蓄で手当てするのがよいのではないでしょうか。
(4)ポイントは保険料?【相続広場】