12 相続税Q&A 応用編
12-07 アパート建築の節税効果は?
(1)賃貸アパートの評価
財産を現預金で持っておくよりも賃貸アパートを建築して賃貸経営を行うと相続税の節税になります。相続開始時に土地や建物を保有しておくと、実際の価値よりも低い価格で評価されることが多く、賃貸アパートの土地と建物は評価額がさらに減額されるためです。
ただし、賃貸経営には賃料の下落、空室の増加、金利上昇による借入金利息の増加、経年劣化による修繕費の増加等さまざまなリスクがあり、相続税の節税にはなっても、それ以上に財産価値を減らすことになってしまうこともありますので賃貸経営による収支を含めて総合的に判断する必要があります。
ただし、賃貸経営には賃料の下落、空室の増加、金利上昇による借入金利息の増加、経年劣化による修繕費の増加等さまざまなリスクがあり、相続税の節税にはなっても、それ以上に財産価値を減らすことになってしまうこともありますので賃貸経営による収支を含めて総合的に判断する必要があります。
(2)宅地の評価方法は?
① 自用地の評価
宅地の評価方式には、路線価方式と倍率方式があります。路線価方式と倍率方式のどちらで評価するのかは、国税庁ホームページまたは税務署で確認できる財産評価基準(路線価図、評価倍率表)により確認できます。
(ア) 路線価方式
路線価方式は、路線ごとに付された路線価(路線価は一般的に時価の8割程度と言われています。)をもとに各種画地調整をした価額にその土地の面積を乗じて評価する方法です。
路線価は国税庁ホームページまたは税務署で確認できます。
(イ) 倍率方式
倍率方式は、固定資産税評価額(固定資産税評価額は一般的に時価の5割~7割程度と言われています。)に各地域ごとに定められた倍率を乗じて評価する方法です。
固定資産税評価額は各市区町村で、倍率は国税庁ホームページまたは税務署で確認できます。
② 賃貸アパートの土地の評価
賃貸アパートの土地(以下、「貸家建付地」といいます。)は以下の算式により評価します。
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
借地権割合と借家権割合は、地域により異なりますので、路線価図等により確認して下さい。
宅地の評価方式には、路線価方式と倍率方式があります。路線価方式と倍率方式のどちらで評価するのかは、国税庁ホームページまたは税務署で確認できる財産評価基準(路線価図、評価倍率表)により確認できます。
(ア) 路線価方式
路線価方式は、路線ごとに付された路線価(路線価は一般的に時価の8割程度と言われています。)をもとに各種画地調整をした価額にその土地の面積を乗じて評価する方法です。
路線価は国税庁ホームページまたは税務署で確認できます。
(イ) 倍率方式
倍率方式は、固定資産税評価額(固定資産税評価額は一般的に時価の5割~7割程度と言われています。)に各地域ごとに定められた倍率を乗じて評価する方法です。
固定資産税評価額は各市区町村で、倍率は国税庁ホームページまたは税務署で確認できます。
② 賃貸アパートの土地の評価
賃貸アパートの土地(以下、「貸家建付地」といいます。)は以下の算式により評価します。
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
借地権割合と借家権割合は、地域により異なりますので、路線価図等により確認して下さい。
(3)建物の評価方法は?
① 自用家屋の評価
自用家屋は固定資産税評価額に1.0を乗じた額で評価します。
② 貸家の評価
貸家は以下の算式により評価します。
固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
自用家屋は固定資産税評価額に1.0を乗じた額で評価します。
② 貸家の評価
貸家は以下の算式により評価します。
固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
(4)具体例は?
現金2億円で賃貸アパートとして土地と建物をそれぞれ1億円で購入した場合、相続税評価額は以下の通りとなります。
賃貸アパートを建築しないで現預金2億円をそのまま保有していた場合の相続税評価額は2億円のままですが、賃貸アパートを建築することにより相続税評価額が1億1,460万円となり、相続税評価額を8,540万円引き下げることが出来ます。
なお、上記評価額の具体的な計算根拠は以下の通りです。
① 土地の評価額(路線価は時価の8割と仮定)
(ア) 路線価評価額 8,000万円(1億円×80%))
(イ)賃貸アパートの土地の評価(借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%と仮定)
6,560万円(8,000万円×(1-60%×30%×100%))
なお、賃貸アパートの土地については、一定の要件を満たす場合には小規模宅地等の特例により、限度面積まで上記評価額の50%を減額することもできます。
② 建物の評価額(固定資産税評価額は時価の7割と仮定)
(ア) 自用家屋の評価額 7,000万円(1億円×70%)
(イ)貸家の評価額(借家権割合30%、賃貸割合100%と仮定)
4,900万円(7,000万円×(1-30%×100%))
③ 土地と建物の評価額合計(①+②) 1億1,460万円
賃貸アパートを建築しないで現預金2億円をそのまま保有していた場合の相続税評価額は2億円のままですが、賃貸アパートを建築することにより相続税評価額が1億1,460万円となり、相続税評価額を8,540万円引き下げることが出来ます。
相続税評価額 | |
---|---|
現金で2億円持っていた場合 | 2億円 |
賃貸アパートとして土地と建物を 1億円ずつで購入した場合 | 1億1,460万円 |
差額 | 8,540万円 |
なお、上記評価額の具体的な計算根拠は以下の通りです。
① 土地の評価額(路線価は時価の8割と仮定)
(ア) 路線価評価額 8,000万円(1億円×80%))
(イ)賃貸アパートの土地の評価(借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%と仮定)
6,560万円(8,000万円×(1-60%×30%×100%))
なお、賃貸アパートの土地については、一定の要件を満たす場合には小規模宅地等の特例により、限度面積まで上記評価額の50%を減額することもできます。
② 建物の評価額(固定資産税評価額は時価の7割と仮定)
(ア) 自用家屋の評価額 7,000万円(1億円×70%)
(イ)貸家の評価額(借家権割合30%、賃貸割合100%と仮定)
4,900万円(7,000万円×(1-30%×100%))
③ 土地と建物の評価額合計(①+②) 1億1,460万円