10 相続税Q&A 基礎編 その1
10-02 相続人の範囲と相続分は?
(1)遺産分割は?
遺産分割においては、遺言書があればそれが優先されます。もし遺言書がなければ、民法に規定する法定相続人に財産を相続する権利と債務を承継する義務が生じます。民法では遺産分割を受ける事が出来る相続人の範囲、順序、分割割合等が定められています。
(2)相続人の範囲は?
民法では、相続人の範囲と順番について、以下のように定められています。配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の血族相続人は、順位が上の者から配偶者と一緒に相続人となります。
①第1順位(被相続人の子)
被相続人の子がいる場合には、第1順位の相続人となります。配偶者は常に相続人となりますので、この場合には配偶者と子が共同して相続人となります。相続発生時にその子が既に亡くなっている場合は、代襲(再代襲)相続として、その子の子(被相続人の孫)や孫(被相続人のひ孫)が相続人となります。子は非嫡出子の場合にも相続権があります。
なお、相続開始時に胎児であった者は、生まれたものとみなして相続人となります。
②第2順位(直系尊属)
子がいない場合は、被相続人の親が相続人となります。この場合にも配偶者と直系尊属が共同して相続人になります。その親が既に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。
③第3順位(兄弟姉妹)
第1順位の子と第2順位の直系尊属がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。この場合も配偶者がいる場合には、配偶者と兄弟姉妹が共同して相続人になります。その兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、代襲相続として、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が相続人となりますが、兄弟姉妹には再代襲は認められておりません。
相続人の範囲 | 配偶者 | ||
---|---|---|---|
血族相続人 | 第1位 | 被相続人の子またはその代襲者 | |
第2位 | 直系尊属 (被相続人の親または祖父母) | ||
第3位 | 被相続人の兄弟姉妹またはその子 |
①第1順位(被相続人の子)
被相続人の子がいる場合には、第1順位の相続人となります。配偶者は常に相続人となりますので、この場合には配偶者と子が共同して相続人となります。相続発生時にその子が既に亡くなっている場合は、代襲(再代襲)相続として、その子の子(被相続人の孫)や孫(被相続人のひ孫)が相続人となります。子は非嫡出子の場合にも相続権があります。
なお、相続開始時に胎児であった者は、生まれたものとみなして相続人となります。
②第2順位(直系尊属)
子がいない場合は、被相続人の親が相続人となります。この場合にも配偶者と直系尊属が共同して相続人になります。その親が既に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。
③第3順位(兄弟姉妹)
第1順位の子と第2順位の直系尊属がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。この場合も配偶者がいる場合には、配偶者と兄弟姉妹が共同して相続人になります。その兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、代襲相続として、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が相続人となりますが、兄弟姉妹には再代襲は認められておりません。
(3)法定相続割合は?
民法では、各相続人が相続すべき割合を定めています。この法定相続割合は、財産の取得割合だけでなく、債務の分担割合にもなります。
それぞれの相続人の法定相続割合は以下の通りです。
なお、同じ順位の相続人が複数いる場合は、法定相続割合はその人数で均等に分割します。つまり子が2人の場合には、一人の子の取得割合は1/4となります。
それぞれの相続人の法定相続割合は以下の通りです。
相続人の取得割合 | 配偶者と子 | 配偶者と直系尊属 | 配偶者と兄弟姉妹 |
---|---|---|---|
配偶者 | 1/2 | 2/3 | 3/4 |
子 | 1/2 | ||
直系尊属 | 1/3 | ||
兄弟姉妹 | 1/4 |
なお、同じ順位の相続人が複数いる場合は、法定相続割合はその人数で均等に分割します。つまり子が2人の場合には、一人の子の取得割合は1/4となります。
(4)具体例は?
遺産総額が9,000万円の場合における、それぞれの相続人の法定相続分は以下の通りです。
①相続人が妻と子供2人(子A、子B)の場合
・妻 4,500万円(9,000万円×1/2)
・子A 2,250万円(9,000万円×1/2×1/2)
・子B 2,250万円(9,000万円×1/2×1/2)
この場合において、相続発生時に子Bが既に亡くなっていて、子Bに子(孫Cと孫D)がいる場合は、子Bの法定相続分である2,250万円を孫Cと孫Dで均等に分割することになります。
・孫C 1,125万円(2,250万円×1/2)
・孫D 1,125万円(2,250万円×1/2)
②相続人が妻と両親(父E、母F)の場合
・妻 6,000万円( 9,000万円×2/3)
・父E 1,500万円(9,000万円×1/3×1/2)
・母F 1,500万円(9,000万円×1/3×1/2)
③相続人が妻と兄弟姉妹3人(兄G、弟H、妹I)の場合
・妻 6,750万円( 9,000万円×3/4)
・兄G 750万円(9,000万円×1/4×1/3)
・弟H 750万円(9,000万円×1/4×1/3)
・妹I 750万円(9,000万円×1/4×1/3)
このように、配偶者以外の相続人が誰であるかによって、配偶者の法定相続分は異なってきます。
①相続人が妻と子供2人(子A、子B)の場合
・妻 4,500万円(9,000万円×1/2)
・子A 2,250万円(9,000万円×1/2×1/2)
・子B 2,250万円(9,000万円×1/2×1/2)
この場合において、相続発生時に子Bが既に亡くなっていて、子Bに子(孫Cと孫D)がいる場合は、子Bの法定相続分である2,250万円を孫Cと孫Dで均等に分割することになります。
・孫C 1,125万円(2,250万円×1/2)
・孫D 1,125万円(2,250万円×1/2)
②相続人が妻と両親(父E、母F)の場合
・妻 6,000万円( 9,000万円×2/3)
・父E 1,500万円(9,000万円×1/3×1/2)
・母F 1,500万円(9,000万円×1/3×1/2)
③相続人が妻と兄弟姉妹3人(兄G、弟H、妹I)の場合
・妻 6,750万円( 9,000万円×3/4)
・兄G 750万円(9,000万円×1/4×1/3)
・弟H 750万円(9,000万円×1/4×1/3)
・妹I 750万円(9,000万円×1/4×1/3)
このように、配偶者以外の相続人が誰であるかによって、配偶者の法定相続分は異なってきます。
(5)配偶者がいないと?
配偶者がいない場合には、子がいると子が全額を取得します。配偶者も子もいない場合には、直系尊属が全額取得します。配偶者も子も直系尊属もいない場合には、兄弟が全額取得します。子がいない場合は、遺言書を作成しておくことをお勧めします。